作業の締め切り前などに時計の進みが速くなったように見える経験をしたことがあるだろう.これは認知負荷の一種であるタイムプレッシャーによるものである.タイムプレッシャーは,ある問題を解決するために必要であると見積もられる時間と実際に与えられた時間の比率によって決定される.タイムプレッシャー下では,意思決定のための情報処理に影響が生じ,意思決定に伴って次の行動を起こすまでの時間が短くなるという報告がある.また,タスクパフォーマンスや生産性が向上することが示されている.そのため,このタイムプレッシャーを疑似的に起こすことができれば,作業効率を向上することができると考えられる.我々は,タイムプレッシャーを生じさせるために,時間感覚に変化を与えうる要因として時計に着目した.時計は,本来基準のない時間の共通尺度として用いられるため,時計の見かけの表示時間が多くの人の時間感覚に影響すると考えられる.本研究では,作業環境に存在する時計が示す時間の経過速度の制御により作業効率を向上する手法を提案する.
- 吉永 亮佑, 櫻井 翔, 伴 祐樹, 野嶋 琢也, 広田 光一: 時間的制約下での創造的作業における時計の認識調査; 日本VR学会第22回大会予稿集, 3A2-01, 2017